家賃の振込先の変更に関してのトラブル
★質問
家賃の振込先の会社の代表が、1/26に詐欺で逮捕されたため家賃振込先が変更になりました。1/27に管理会社からのFAXで事情を知りましたが、すでに1/23に2月分家賃を振込済みなため、管理会社に連絡すると「2月分はそのままでいいので3月分から新しい振込先に亅と言われました。
しかし、本日になって「2月分の家賃が回収できないので未払い状態になっている。家主も損害を被っており負担するのは困難なため払ってもらわないといけない。逮捕された代表が出てきて回収できたら返金するが、代表に対して積極的に取り立てする義務はない亅と言われてしまいました。振り込まなくてはいけないのでしょうか?
ちなみに、生活保護受給中です。
相談者様
相談内容を拝見しました。
賃貸借契約は「賃貸人」と「賃借人(相談者様)」の契約であり、家賃の支払い方法については、通常、振込先も含めて、契約書に書かれていると思われます。また、家賃の支払先も通常は「賃貸人名義の口座」もしくは「管理会社の口座」だと思われますが、いずれにしても「賃貸人」が指定した口座です。
それ故、特段の事情がない限り、指定された通りに家賃を支払っているのであれば、2月分の家賃を再度、支払う必要はありません。もうすでに賃借人がしないといけない(2月分の家賃を支払うという)債務は有効に弁済されています。
確かに賃貸人にも被害は出ているとは思われますが、すでに支払い済みの家賃に関して、逮捕された会社の代表に請求すべきは「賃貸人」であって、賃借人(相談者様)ではありません。相談者様は指定先が変わった連絡を受けて「以降」の家賃を新たな振込先に振り込めば、法律的には問題ありません。指定振込先の会社を通して賃貸人に家賃が振り込まれているのは「振込先の会社」(おそらくは管理会社?)と「賃貸人」との契約の問題(管理契約など)で、相談者様と賃貸人との「賃貸借契約」には一切関係のない事情です。
逮捕されているので回収が難しい状況なのかもしれませんね。家賃は毎月、同じ金額なので、後でトラブルにならないよう当分の間は支払い済みの控え等を残しておくなりして、どれが何月分かなど記録を残しておいた方がいいかもしれませんね。
この状況で相談者様に請求するというのは普通ではないように思います。もし、トラブルになりそうなら、無料の弁護士相談など、されてみてはどうでしょう。
★質問者様のレス
お返事ありがとうございました。お返事をいただく前に区役所のケースワーカーにも相談したところ、民と民の問題なので役所は介入できない、役所から管理会社や家主に連絡も取ることはできないと言われてしまいました。そして、管理会社が言ってるのであれば支払う必要はあるかと思うと…。念のため、区役所の法律相談に行ってみては?と連絡先を渡されました。腑に落ちませんでしたが、通常は支払う必要はないと言っていただけて少し心の荷が降りたような気がします。来週、法律相談に行ってみようと思います。
★弊社のアンサー
役所は基本的に民事には介入しません。警察が民事不介入だとよく言われますが、警察のみならず、一般的に役所は民事に介入しないと思います。
こちらの相談コーナーでも時々、相談者様に行政官庁や役所に相談に行くようなアドバイスも見られますが、自分が実際にいろいろと問い合わせをした感覚で言えば、話を聞いてくれるだけで、その先、(相手方に連絡をとるなど)着手はしないと思います。唯一、する場合というのは、明らかに法令違反があり、何らかの権限のある監督官庁がある場合で、その場合は監督官庁が「指導」「免許の取り消し」などを行います。不動産のトラブルに関して言えば、「宅建業法」に関しての明らかな違反がある場合かと思います。
契約というのは、そもそも私人(しじん)間の取り決めであって、原則として、自由にすることができます。また、家賃の支払いなども契約に基づいた「債権・債務」の問題で、履行するしないといったものもいずれも民事的なトラブルです。仮に不法行為があったとしてもそれは民事上の不法行為であって、例えば、夫婦間の不貞行為なども不法行為ですが、役所はいくら頼まれたとしても不法行為をした相手方に連絡を取るということは通常、あり得ないのと同じです。
今回の相談者様のケースも最初は「来月分から新しい口座に振り込む」ように管理会社は言っていますので、管理会社としてもそれが当然であることは認識していたはずです。しかし、その後、何らかの事情があって、(おそらくは賃貸人から家賃を支払う、あるいは負担をするように言われたけど、それができないので)方向を変えたのだと思われます。
相談者様は契約の本旨に従って、債務(=家賃の支払い)を履行しています。振込先が変わったのはそのあとですので、先レスでも書きましたが、改めて再度支払う責任はありません。今回、賃貸人に支払い義務があるのは家賃を相談者様から受け取った会社であって、相談者様はそこの関係性については無関係です。
弁護士相談に行く上での注意点として、役所などでやっている弁護士相談は相談だけなら無料ですが、実際に着手(例えば相手方に電話をしてもらう、書面にしてもらうなど)してもらうには通常、必ず代金がかかってしまう、ということです。それ故、相談時には必ずメモを取るなりして、相手方に伝えるべきことをしっかり記録し、その後、ご自身が相手方に法律的に対抗できるようにして下さい。無茶な主張をしている人でも弁護士相談した相手方には主張を引っ込める場合が多いと思いますが、代表が詐欺で捕まるような会社とのことですので、相談して、慎重に対応なさってくださいね。