署名・捺印前のキャンセル
★質問
賃貸物件内覧後に重要事項説明を受けサインし、手付金を支払いました。
二ヶ月分賃料
礼金
仲介手数料等支払いました。
その後送られてきた契約書に
署名捺印していません。
一身上の都合により
キャンセルを伝えたところ
お金は殆どかえらないとのこと。
手付け金の領収書にも
借り主都合のキャンセルは返金なしの記載があります。
調べたり聞いたところ
かえってくるから協会に
連絡するよういわれたり
契約書サインがまだなら返金される、
重要事項説明サインしたら返らない、
色々あってわかりません。
何が正しいのでしょう。
相談者様
相談内容を拝見しました。
賃貸契約のキャンセルに関してはこちらでもよく相談される内容です。
よく問題になるので、私自身、所属の大阪府宅建協会本部に質問し、また、協会の当番弁護士にも実際に相談に行きました。
不動産取引は宅建業という免許があり、その免許は各都道府県知事もしくは国土交通省が管轄し、各不動産業者に免許を与えています。また、宅建業法という法律があり、その法律に違反していれば、行政指導や免許の停止など、処分の対象となることもありますので、不動産業者とのトラブルの相談は行政にしてみるといい、というのは間違いではありません。
しかしながら、行政は「宅建業法」に関する違反を取り締まるだけで、今回の相談者様の場合、重要事項説明を終えているので、業者が返金を拒んでも宅建業法違反は問えず、契約の成立時期についての争いとなると思われますので、行政は民事不介入となり、相談は弁護士ということになるかと思われます。
あちこちで既にお調べになられているようですが、契約の成立に関しては、民法522条で申し込みと承諾があれば成立することは明文化されており、実質的には「双方の合意」で成り立つものと考えられています。
それ故、この「合意」がどの段階で成立するか、様々な意見があるので、いろんな見解が書かれているのだと思います。
自分が調べた限りにおいては、弊社ホームページに書いていますので、もしよければそちらも見てください。時数制限があり、こちらには載せられないので、最後にアドレスを記載しておきます。そちらには、行政である大阪府の見解もリンクで貼っていますので、併せて確認下さい。なお、部分抜粋しておきます。
★大阪府 ホームページより部分抜粋
「では、いつ賃貸借の契約は成立するのでしょうか。契約書に家主・借主の双方がサインした時でしょうか。いいえ、必ずしもそうではありません。厳密に言うと、賃貸借の契約は“双方の合意があれば成立するもの”であり、「契約書がなければ契約は成立しない」という考え方はされていません。
例えば、申込者が重要事項説明を受け、入居希望の意思表示として預り金(申込証拠金)を支払い、それを受けた貸主が入居を承諾したという場合などは、貸主と借主の双方の意思が一致したとして契約成立とみなされる可能性は大きいでしょう。
また、契約後、気が変わりキャンセルを申し出たところ、入居前なのに申込時に支払ったお金が返金されない、または違約金を請求されているといった相談が寄せられることがあります。しかし、一旦契約をしたからには、何もなかったことにはできないと考えなければなりません。入居前だからといって、いつでもキャンセルできるというのは大間違いです。」
以上、抜粋。
こちらの大阪府の見解です。弁護士や相談相手によっては、異なる見解もありうると思いますが、概ね専門家の見解は、重要事項説明が終わり入金済みであれば合意はあったとみなされる傾向にあるようです。
ただ、賃貸でもいわゆるテナントの契約の場合は成立時期が「契約書に記名捺印」となっている判例も割とあるようです。これは、テナントの場合、申し込み後に看板の位置や原状回復、使用方法など、かなりの条件面のすり合わせをしてから、契約内容を決めることもあってのことかと思います。住居用の賃貸の場合は、礼金や家賃など、ほぼ条件面の交渉をする場合でも申し込み前にするので、テナントの場合と比べ、ずっと前の段階で「双方の合意」があったと判断される可能性が一般的には多いのではないかと思われます。
相談内容を拝見させていただく限りにおいて、相手方に法律違反等があるわけではなさそうです。それ故、返金請求をしたとしても相手が拒否をすれば、最終的には法的措置を含め、司法判断になる可能性があると思います。まずは、無料の弁護士相談に行かれてはどうでしょうか。
最後になりますが、弊社ホームページで弁護士相談をした上でまとめたページを掲載しておきます。
//www.priceless-osaka.com/blog/entry-384776/
★質問者様のレス 迅速、かつ丁寧なご対応に心から感謝いたします。 またご自身のご経験を通してのお話身に沁みました。 本日、日曜日のため宅建協会はつながらないため、消費者センターに電話してみましたが 専門的なことはわからない、他に日曜日に相談が乗れるところはないとのことでした。 回答者様のお話から宅建協会でのお話も想像が出来ましたので だめもとで聞いてみたうえで法律相談も視野に入れてみます。 今回は最悪返金がなくても仕方がないかとも考えていますが今後のこともあるので しっかり調べて考えます。勉強になりました。本当にありがとうございました。