初期費用の支払い 合格発表前
春から大学生になる子供の一人暮らし賃貸マンションを探しています。
先日良い新築物件があったので、不動産屋さんにお願いしました。
すぐに入居審査前に家賃2ヶ月分を振り込むように言われました。
残金も合格発表前に振り込むように言われました。
指定校推薦なのですが、不合格になることもありますし、不信に感じております。
このまま今の不動産屋さんに任せて大丈夫か心配です。
★弊社のアンサー
相談者様
相談内容を拝見しました。
どういった事情で仲介業者が家賃2ケ月分を振り込むように言っているのか、わかりませんが、キャンセルする可能性があるのでしたら、振り込むべきではありません。
大学受験の時期には、合格発表前に不動産の契約を済ませてしまう方もいらっしゃいます。これは合格発表前後の時期はまだ卒業してでていく学生さんが入居中のため、契約できる物件数が一時的に極端に少なくなるので、遠方からでどうしても入学時である4月には一人暮らしをする必要のある方などもいらっしゃるからかと思います。
相談者様の通われる大学周辺の賃貸事情がわからないので、いつ申し込みをするのが最適かまではわかりませんが、(準備もあるでしょうから)3月頭くらいから入居するのであれば、1月末くらいが一般的な申し込みの時期かと思います。ただ新築物件は埋まるのが早いので、どうしてもその物件ということなのであれば、空き状況に注意は必要です。
入居申し込み後のキャンセルについては、こちらの相談コーナーでも頻繁に相談が寄せられており、弊社のホームページにもまとめたものを掲載していますので、もしよろしければ、ご覧下さい。
法律的に言えば、申し込みをし、賃貸人(大家さん)が申し込みを承諾した段階で、契約が成立する可能性があります。多くの人は「契約書に記名捺印すること」が契約だと勘違いしていて、契約書にサインしていないから、キャンセルしても大丈夫だと思い込んでいるようです。
そのため、今回、仮に相談者様が初期費用を支払い、申し込みをしますと、その後、賃貸人から申し込みの承諾があった段階で契約の成立を主張されてしまう可能性がでてきます。そうなると、キャンセルしようと思っても返金に応じてもらえない可能性があります。
こちらの相談コーナーでの書き込みの中には「契約書に記名捺印前ならキャンセルできる」といった不動産業者の経験上のアドバイスも寄せられていますが、確かに実際、キャンセルしてお金を返してくれる場合が多いのかもしれませんが、法的には何の根拠(条文)もない(=契約の成立で争いになれば司法判断)ので、返金に応じるかは賃貸人次第で、法的に返金されるのが当たり前でも権利でもありません。
もし、賃貸人が「契約が申し込みに対して承諾した段階で成立する」という法律(民法522条)を知っていれば、「法的に返金請求に応じる必要がない」と主張されてしまう可能性があり、そうなると大きなトラブルです。
実際にトラブルになれば、日本では請求する権利を有する側が泣き寝入りすることがほとんどです。これは裁判に費用がかかること、勝訴しても相手が支払わなければ強制執行の手続きまでする必要があるからだと思います。
今、代金を支払った上、キャンセルする事情ができ、返金を拒まれると、相談者様がその立場になる可能性があります。それ故、代金の支払いはキャンセルする可能性があるなら十分に慎重になるべきです。
行政の方でも同様の見解で注意喚起をしています。「重要事項説明の前にキャンセルをしたのに返金を拒否している」(宅建業法違反)など、何か不動産業者が違法なことをしているのであれば、監督官庁からの行政指導が入り、法的に金銭を取り返すことができますが、契約が成立していれば(主張されれば)、民事で取り返す必要が出てきます。
たびたびキャンセルの相談が寄せられていますので、行政の見解も掲載しておきます。
★契約はいつ成立するか(大阪府)
いつ賃貸借の契約は成立するのでしょうか。契約書に家主・借主の双方がサインした時でしょうか。いいえ、必ずしもそうではありません。厳密に言うと、賃貸借の契約は“双方の合意があれば成立するもの”であり、「契約書がなければ契約は成立しない」という考え方はされていません。
例えば、申込者が重要事項説明を受け、入居希望の意思表示として預り金(申込証拠金)を支払い、それを受けた貸主が入居を承諾したという場合などは、貸主と借主の双方の意思が一致したとして契約成立とみなされる可能性は大きいでしょう。
また、契約後、気が変わりキャンセルを申し出たところ、入居前なのに申込時に支払ったお金が返金されない、または違約金を請求されているといった相談が寄せられることがあります。しかし、一旦契約をしたからには、何もなかったことにはできないと考えなければなりません。入居前だからといって、いつでもキャンセルできるというのは大間違いです。安易な契約が、トラブルの元となり、精神的にも経済的にもダメージを受けることにつながります。慎重な行動を心がけましょう。
以上は大阪府です。
大家さんがキャンセルしても返金してくれたという経験で、「キャンセルできる」「返金される」という解釈をしている業者さんもいますが、賃貸人が法律を知っていれば、そうならないこともあり、実際、トラブルになることもあるので、ご注意下さい。
申込金のようなものを請求しない業者もたくさんあります。また、賃貸はほとんどの物件はどの不動産屋でも扱えます。
くれぐれも慎重になさってください。