管理会社で賃貸の申し込み
不動産会社Aが紹介したマンションを契約しようとしましたが、そのマンションの管理会社が全く同じ物件を募集していました。間取りも階も全て一緒です。
管理会社と直接契約すれば仲介手数料不要となるので、そうしようかと思い契約書を見たら礼金がかかることが判明。不動産会社Aや他の大手物件検索サイトには礼金なしと掲載されていたのに。管理会社のサイトの募集ページの礼金箇所は確認していませんでした。ただ、どちらの会社と契約するか決める際に、管理会社と不動産会社Aには事前に、金額が違うところは仲介手数料だけか電話で確認をし、両者とも仲介手数料が不要か払うかだけと言っていました。
管理会社へ言っていたことと異なることを指摘してもやはり礼金は満額払わないといけないのでしょうか。
割と一般の方は管理会社に直接問い合わせをすれば仲介手数料がかからないと思っておられるようですが、仲介手数料は仲介をする会社が手数料として受け取る報酬であり、賃貸人から委託を受けて募集を出している管理会社(元付会社)も受け取ることができます。申し込みをする入居予定者(賃借人)が貸主と直接契約する場合は仲介の会社がないので、仲介手数料というのが発生しません。今回、管理会社が仲介手数料を受け取る立場にないということなら、管理会社自体が貸主ではないかと思われます。
仲介手数料がないから、金銭的なメリットを感じて直接貸主と契約をしようとされる賃借人もいらっしゃるようですが、法律的には必ずしもそうとばかりは言えません。
確かに最大で賃料1カ月分かかる仲介手数料がかからない、というのは一見、大きなメリットに見えます。しかしながら、直接、貸主と借主が契約する場合、宅建業法という強く宅建業者を規制し、消費者を保護している法律の規制が及びません。貸主と借主の契約は規制のない自由な契約なので、例えば、会社によっては、仲介手数料の代わりに(上限の決まっていない)事務手数料という名目で契約費用を請求することもあるので、昨今、仲介手数料を無料でしてくれる仲介会社もあることも考えれば、場合によっては金銭的なメリットもありません。
また、仲介の会社は契約締結前に重要事項説明をし、契約締結後にいわゆる契約書を交付する義務がありますが、貸主借主が直接、賃貸借契約をする場合はその必要もありません。仲介の会社は仲介をしているお客様の側に立ち、宅建業法に基づき、適切なアドバイスもしてくれると思うのですが、仲介がいないということは宅建業法の規制の無い中、全て自己責任で賃貸人と対等な立場で契約を結ぶことになります。これは大きなデメリットだと思います。
相談者様と管理会社とのやり取りの中で、金銭提示についていきちがいがあったようですが、例えば、相手方に勘違いや思い違い、言い間違いといった錯誤があった場合で、その後、訂正があった場合、訂正された条件に納得できないのであれば、支払う必要はないと思われます(「錯誤無効」)。 この場合の支払う必要がない、というのは、「支払わずに契約ができる」という意味ではなく、礼金が追加で支払う必要があるならその条件では契約しない、という意味ですのでご注意下さい。
ただ、その物件の貸主のようですので、他社から申し込みをするのであれば、しっかりと事情を説明しておいた方がいいように思います。
仲介手数料を気にされるのであれば、仲介手数料を安く引き受けてくれる不動産屋を探される方がメリットが大きいと個人的には思います。