★初めての同棲
こちらは初めて同棲をしようと思った方に向けた不動産屋からのアドバイス、豆知識です。
賃貸に二人で入居するとき、「現在賃貸している物件に二人で住んだらどうなるの?」「どんな物件なら入居できるの?」「審査はどうなるの?」「契約はどんな感じ?」「何か注意点はあるの?」「もし、片方がでていくことになったらどうなるの?」など、様々な疑問があると思います。
契約や法律はあまりなじみがないものかもしれませんが、知らないと予想もしないトラブルに巻き込まれることもありますので、ぜひ、ご一読下さい。
1. 物件の入居可能人数について
賃貸物件は入居可能人数を大きく分けると「単身者用」と「それ以外(複数入居用)」に分かれます。賃貸した部屋に何人ですんでもいい、というわけではなく、通常は契約で定められています。
①
単身者用
入居できるのは一人のみです。間取りは「1K」や「1ルーム」がほとんどです。
単身者用に複数人で入居すると契約違反となり、大家さん(管理会社)によって契約違反への対応は異なってくると思います。トラブルがなければ黙認してくれる場合もあるかもしれませんが、他の入居者からクレームが来たりすれば、強い措置をとるでしょうし、場合によっては損害賠償の上、契約を解除されることもあります。
もし、今、住んでいる部屋で同棲をしようと考えているなら、まずは契約書を確認しましょう。
②
それ以外(複数人入居可能)
「2DK」や「2LDK」など、部屋が複数あるものは、複数人での入居が可能である場合が多いです。ただし、その場合でも入居者の関係性に制約がある場合が多く、「家族のみ可」「(結婚予定など)異性の場合可(=同性のルームシェアは不可)」「ルームシェア可」など、条件が付けられていることがほとんどです。
ポータルサイトで「二人入居可」で検索した場合だと、家族限定の場合だと断られますので、注意が必要です。
また、入居中の物件で同棲を始める場合でも管理会社に新たな入居者の届け出は必要ですので、注意してください。
2. 審査と契約について
二人以上で入居する場合、一般的な契約だと。一人が「契約者」となり、その他は全員「同居人」となります。
(1) 審査
保証会社の審査の対象になるのは、通常、「契約者」のみです。どちらかの収入が不安定な場合、収入が高く、安定している方が契約者になられた方が保証会社の審査は通りやすくなります。なお、通常、同居人は審査の対象ではないので、申込用紙に収入面を記入することもありません。(二人の収入を合算して審査をする、ということも通常はありません。)
これはよくある質問なのですが、保証会社の審査に落ちた場合、理由は仲介の不動産会社にも教えてもらえません。それ故、ローンや借り入れがあっても同居人に知られることもありません。
また、審査の状況次第では「連帯保証人が必要」といった条件付きの場合があります。同居人は一般的な契約の場合、連帯保証人としては認められないことがほとんどなので、「契約者」の身内から連帯保証人を出すことになります。
(2) 契約と法的な責任
無事審査を通過した後、契約ということになりますが、賃貸借契約の法的な責任は「契約者」のみ(連帯保証人がいれば連帯保証人も)にあり、同居人にはありません。
それ故、同棲をする場合、家賃やその他、費用負担を二人で決めたりすると思うのですが、それはあくまでも二人の取り決めであって、(例えば、同居人が家賃の半分を支払う約束を守らず家賃滞納になっても)家賃やその他、損害賠償請求など、賃貸借契約上の法的な責任は全て「契約者」ということになりますので、注意が必要です。
(3) 同棲を解消する場合
①
同居人が出ていく場合
契約上の契約者が変わるわけではないので、通常は管理会社に届け出をする程度で、契約が大きく変わるわけではありません。
②
契約者が出ていく場合(同居人が残る場合)
管理会社によって、対応は異なると思いますが、原則として、契約をいったん解約し、新たに同居人が契約者として申し込む形になります。そのため、新規入居するときと同じ手続きが必要で、保証会社の審査申し込みからすることになります。
ただ、賃貸人の立場からすると、そのまま住んでもらえれば、通常の退去と異なり、新規募集のコストもかかりませんし、空室の期間もないため、経済的なメリットが非常に大きいです。「退去しようか、条件によってはこのまま住み続けるか、検討しています。」等を伝え、上手に交渉できれば、礼金が不要だったり、通常の新規申し込み時よりずっとコストを抑えることができるかもしれません。
(4)その他、注意点
「契約者」が賃貸契約の法的な責任を負うことになりますので、注意が必要です。特に原状回復費用の請求など、通常、退去後に請求されるものもあるので、金銭的な負担はトラブルになる前にしっかりと事前に決めておくことが大切です。