退去時、立ち会いの際管理会社の方から大家と相談し、取り外しを行うという決定がされた場合、エアコン撤去代がかかると説明がありました。
こちら側が取り付けを行ったものなので、そのような判断の場合、妥当だと理解しています。
後日撤去にかかわる費用明細が届き、そこにはやはりエアコン撤去代の記載がありました。
当然、取り外しを行いその費用として算出されていると思ったのですが、引っ越し先がすごく近所なので、退去した部屋の前を通ると、エアコンが設置されたままでした。
管理会社に電話して、これはどういうことかと聞いたところ、大家と相談して取り外さないということになったということです。
こちらとしては、撤去を行うということで費用を負担しています。撤去を行わないのであれば、エアコン撤去代というのは不当な請求ではり、返金をして欲しいと伝えました。
しかし、エアコン撤去代は原状回復の費用としてのものになるので、法律上も何らおかしくなく、返金はできないという説明です。
管理会社の説明に全く納得がいかないのですが、エアコン撤去代といして請求され、敷金から引かれているにも関わらず、実際撤去せずこの費用は返ってこないというのはおかしくないのでしょうか。
自分も興味があるテーマだったので、以前、調べてみたときに西崎哲太郎さんという方が判例を抜粋して書かれた記事がありました。
判例によると、原状回復させる代わりにお金をしはらった場合、その段階で原状回復に関してのお互いの法的な関係は終わるので、実際に原状回復させる必要はないようです。
→ここには書かれていませんでしたが、原状回復にかかる費用を相互で合意し決めたわけなので、つまりはその後、仮に実際に原状回復させるのに支払金額以上にかかっても請求することもできない、ということだと思われます。
判例の場合は店舗に関してなので、質問者様と少し違うかもしれませんが、判例通りだと実際に返金請求しても難しそうです。
以下、自分がみつけた 西崎 哲太郎さんの書かれた記事からの抜粋です。
原状回復義務は、「当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う(現行民法545条1項)」ことによるものであり、その義務の履行に代えて金員を支払う合意に基づき当該金員を支払うことにより、法律上の債権債務関係は完結する。したがって、特段の合意がない限り、実際に貸主が原状回復工事を行う法的義務はない。
(東京地判 平29・12・8 ウエストロー・ジャパン)
同様の裁判例として、「建物の借主が、建物の退去に際し原状回復費用を支払ったが、貸主がその工事を行わず建物を第三者に売却したことから、支払った原状回復費用の返還を求めた事案において、当該用費用の合意は貸主の工事実施の有無に関わりなく合意され
たものであるなどとして棄却された事例」(東京地裁平成29年11月30日判決 ウエストロー・ジャパン)があるので参考にされたい。
以上、抜粋です。