家の購入を検討している皆さんは、今、夢や希望でいっぱいではないかと思います。自分も仕事として今、不動産の売買をしていますが、それでもやはり、新たな物件を買おうと思ったときは、ワクワクしますし、中古物件をリフォームしたりするときは「どんな感じに生まれ変わるのだろうか」と期待に胸を膨らませます。
でも、こういう前向きにワクワクして買う気持ちでいっぱいの時って、普段ならしないような判断ミスや思い込みをして、後悔してしまうこともあります。
実は私も最近、車を買い替えた時、あまりにも買う気満々だったため、普段絶対にしないような失敗をしてしまいました。それはまた、別の時にでもお話するとして・・・・ここでは家を買おうと思ったときに頭の隅に置いてほしいことをいくつかお伝えしておきます。
①
家は大きな資産だということ
家は間違いなく大きな資産です。買うだけで終わりではないので、必ず「家を売るときのことを考えて買う」ということです。買う前から何十年先になるかもわからない家を売ることを考える人は多くないかもしれませんし、そんな必要ないだろう・・・と思われる気持ちもわかります。しかしながら、いろんな事情で、家を手放さなければならないことになるかもしれません。実際、売りに出されている家の中には築後10年未満のものも結構ありますし、20年未満も含めるとかなりの数になります。人生、いつ何があるかわかりません。売ろうと思ったのに全然売れなくて・・・とならないためにも「売るときの価値」や「売れやすさ」も考えながら買うようにしましょう。買う時には大変価値のあった「不動産」が、必要なくなったときには「負動産」とならないためにも買う時にも必ず売ることを意識しておきましょう。
②
売る時の売れやすさ=土地
不動産屋をやっていて売り物件の情報を見てみると、何年も売れずに残っている物件があります。買う時には「予算内で収めるためにはこの物件しかないから」と、買う気持ちが先行で悪条件に目を瞑り、買ったのはいいけど、売る時に売れない・・・・。そうならないためにもどういう物件が「売りやすいか」ということは知っておきましょう。
物件の売れやすさは、ほぼ「土地」で決まります。形は長方形に近いもので、高低差が無く平坦なものがいいです。また、前の道路がある程度広い方がいいですし、角地ならなおさらいいです。こういった条件をいくつもそろえている土地は周辺の土地よりずっと高い値段で売りに出してもすぐに買い手がつきます。 逆に形が不整形で大きな擁壁があり、また車の出し入れがしにくい土地は多少安くしてもなかなか買い手がつきません。
特に巨大な擁壁(ようへき)がある物件は、建物を建てかえるときに、場合によっては擁壁も作り直さなければならず、それだけで数百万やそれ以上かかることもあり、眺望はいいかもしれませんが、売る時にはなかなか買い手がつかず苦労します。
③
買う時と売る時の値段の差=建物
土地の価値は売る時と買う時で多少の差があるにしても、周辺状況が大きく変わらなければそこまで大きく変わらないかもしれません。でも、建物の価値は確実に下がっていきます。
特に新築の場合、下げ幅は大きく、仮に入居してすぐに売りに出したとしても2~3割は下がってしまうのではないでしょうか。逆に中古で買えば、例え5年ほどで売却することになったとしてもそこまで値段は大きくさがらないかもしれません。これは日本人が家に限らず、特に「新品」にこだわる人が多いからかもしれませんね。自分はあまり新品にこだわらないので、最近でも車を中古で買いました。見た目も綺麗で自分にとっては新車とそうかわらないなぁと思うのに、値段は新車の1割ほどで、個人的には大満足です。4年乗った前の車は下取りしました。買値より15万下がりましたが、新車で4年だともっと下がるのでやはり中古は値段差も少ないです。
④
新築と中古の保証について
新築は10年という保証期間があるのはご存知な方は多いかもしれませんが、中古物件にも保証のしくみはあります。別のところで書いていますのでそちらをご覧いただければと思いますが、中古物件もインスペクションに適合すれば、最大で5年、1000万円までの保証があります。
家の購入は新築にばかり目がいくかもしれませんが、1度でもいいのでリフォームされた中古物件を内覧して見てください。特にフルリフォームされた物件はほとんど見た目は新築とかわりませんので、見た目が嫌なので中古は検討していないという方は確実に選択肢が大きく増えると思います。内装だけでしたらフルリフォームでも300万円ほどでできますので、中古物件だとずっと経済的には負担が少ないです。
新築か中古か・・・自分も最初は新築派でした。でも、フルリフォームされた物件を見ると、柱や配管を除けば新築と中古は本当に差がなくなります。高い買い物ですし、それもローンで買うわけですから・・・・後悔しない選択をしてください。
最後のアドバイスとして、家を買う時は上記のことを頭の隅に置きながら、いろんな物件も見て検討して下さい。新築しか検討していなかった方は中古で築浅物件やフルリフォームしたもの、中古物件を検討している方は築浅物件のみならず、フルリフォームされた築年数30年以上の物件も見てください。どんな物件でも内装だけなら200~300万ほどで、外壁や屋根も含めても500~700万くらいで新築と同じようにピッカピカにできます。
そして、家は大きな資産です。必ず売る時が来る・・・売る時のことも考えながら購入すれば、人生で想定していないことが起こってもそのリスクを事前に軽減しておくことができます。残念ながら、大阪府では毎月、数十軒の家がローンが払えず強制的に競売にかけられてしまっています。家は大切な資産ですから、売る時のことも含めて買う時に検討する。それが大切な資産を守り、家を買うという大きなリスクを軽減する第一歩だと思います。